不動産担保ローンでは何を審査するの?

不動産担保ローンでは何を審査するの?

不動産担保ローンの特徴

不動産担保ローンは、一戸建てやマンション、土地などを担保にして借入するローンサービスのことで、事業性資金にも個人の生活資金にも利用できます。事業性資金としては、会社の資金繰りや運転資金、開業資金などに利用できますし、ビジネスローンの代わりとして利用することもできます。個人として利用する不動産担保ローンは、カードローンやキャッシングの借り換えやおまとめローンとしても活用できますし、子供の教育資金や結婚資金、またリフォームの資金としても活用可能です。一般的な無担保のローンに比較して金利が安く、借入額も大きく設定でき、また借入期間が長くできるというメリットがあります。不動産という価値が高く値動きのしにくい確かな担保を提供するので、審査が通りやすいのも大きなメリットです。申込者本人の所有物件でなくても、三等親以内の親族が所有する不動産でも担保にできます。

不動産担保ローンの審査で重視されるのは?

不動産担保ローンは、無担保・無保証のカードローンやビジネスローンとは審査基準がまったく異なります。金融では、担保があるか無いのかの違いを重視するものです。金融機関によっては不動産担保ローンに特化した部門を用意しているところもあり、通常のローンよりも金利を大幅に低くして、利用しやすくしているところが大半です。このローンの審査で重視されるのは、物件の価値です。不動産担保ローンでは、融資額の返済が不能になったときには、担保として提供された不動産を売却して債権を回収します。この担保があるからこそ、低金利で高額の融資が可能になっていると言えます。不動産担保の評価を担保価値と言って、この評価額に応じて融資可能な金額が決まります。一般的には担保となる不動産の評価額のおよそ70%程度が利用限度額です。評価額が1000万円の土地を担保として提供した場合には、700万円まで借入できる可能性があります。

審査には時間がかかる

不動産担保ローンで注意したいのは、個人向けのカードローンや法人向けのビジネスローンなどと比較して、審査に時間がかかるということです。無担保・無保証のローンは申し込みして即日で審査、即日で融資という形態が多いですが、不動産担保ローンではそういったものは期待できません。不動産担保ローンは申し込みをすると担保となる不動産の調査をすることになり、ローン会社や銀行は不動産鑑定士に依頼して、対象となる不動産の価値を評価します。鑑定士は路線価の調査や、近隣の物件の実勢価格の調査などをして評価額を決定します。つまり、借入の当事者と貸出する側の間に第三者が介入することになります。そのため時間がかかるのが通常です。早くて3営業日ほど、ノンバンク系でも1週間ほどかかることが多いです。近年ではスピーディになりつつありますが、それでも即日融資は困難と考えたほうがいいでしょう。

不動産の価値以外の審査項目は?

不動産担保ローンの審査で最も重要なのは、担保として提供する物件の価値ですが、それ以外にも審査項目があります。たとえば、申込者の他社借入や返済の状況です。個人向けのローンであれば、個人信用情報機関に照会をしますし、法人向けであれば法人信用情報や帝国データバンクなどに照会をします。また、税金の未納や滞納がないかも審査として重要ですし、収入に対する借入額も審査されます。不動産という担保はあるものの、ローン会社としては借主がしっかりと返済してくれることを期待していますので、借主の収入に対してあまり大きな割合で貸出はしません。収入の安定継続性を示すものとしては、個人であれば会社・企業での勤続年数、法人や個人事業主であれば事業年数が重要です。この年数が長ければそれだけ信用力があると判断されます。また、個人向けの不動産担保ローンであれば、本人の雇用形態や職種も審査されますが、これも収入の安定性を調べるためです。正社員なのか契約社員なのかによって信用力は変わってきます。公務員や医師などの職種は安定性が高いと判断され、サービス業や飲食業は不安定と判断されます。

不動産担保ローンの審査を受けるまで

提供している金融機関

不動産担保ローンは銀行だけでなく、専門の業者が提供するものもあります。ローン会社を比較検討してみましょう。銀行は審査が厳しく時間もかかりますが、金利が低く設定され、融資額は大きく返済期間も長い傾向があります。メガバンクだけでなく、地方銀行や信用金庫なども検討しましょう。こういった金融機関は地域の経済に貢献するという使命を負っているため、親身に相談に乗ってくれます。スピードを重視するならノンバンク系でしょう。現金を早めに用意したいという場合にはノンバンク系が向いています。ある程度の時間的余裕があるなら、銀行を検討してみましょう。

申し込みで注意しよう

不動産担保ローンは、1つの金融機関でも各種の商品の取り扱いがあります。分からないことは窓口やコールセンター、サイトからのメール問い合わせなどで相談してみましょう。商品を選んで、ローン会社や銀行に申し込みの意思を伝えます。申込書は窓口や郵送で受け取れますし、インターネットでも取り寄せることが可能です。内容に目を通して、疑問の点は理解できるまで問い合わせをするなどしましょう。不動産担保ローンは、土地や建物を担保に提供するローンですので、返済不能になったらその物件を失うことになります。充分な検討が必要でしょう。

審査を受けるには

申込書に融資を受ける本人や、法人であれば経営者の情報を記入しますが、ここで名称や住所、連絡先などの書き損じのないよう注意しましょう。ローン会社の担当者によると、申込書の不備による審査落ちは非常に多いです。申込書の署名捺印欄の漏れも多いので注意してください。申込書と必要書類をローン会社に送付して、初めて審査を受け付けてもらえます。不動産担保ローンは必要書類が多いので、良く確認しておきましょう。書類の不備があるときには審査は開始されません。誤りがないことを申込者とローン会社の双方が確認して、ようやく審査です。想像以上に時間はかかりますから、余裕を持って行動しましょう。

不動産担保ローン比較ランキング決定版

レインズ

不動産担保ローンの審査で行われること

審査基準は非公開

不動産担保ローンだけでなく、あらゆるローンや融資がそうですが、銀行やローン会社が実際にどのような基準で審査しているのかは非公開です。ローン会社にとっては、どういった人・法人に対して審査を通過させるかというのは極秘事項になっています。会社独自の基準があって、他の会社では審査落ちさせるが自社では「こういう人には貸していい」という情報があれば、そういったことは知られたくないはずです。そのため、具体的に何をどう審査しているのかは利用者が知ることはありません。

属性調査をする

不動産担保ローンであっても、他のカードローンやビジネスローンと同様に、個人や法人の属性を調査します。個人であれば信用情報機関に照会して今までにどのような借入をして、それをどう返済してきたか履歴が残っています。そういったものを参照して審査をします。法人であれば、従業員数や年間売上、また帝国データバンクの情報を参照しながらどの程度の返済能力があるのかを調査します。

法人に関する信用情報

法人がすでに他のローンを利用していれば、信用情報機関に借入状況の情報が登録されています。信用情報で重要なのは返済状況です。支払いの遅延や滞納などの事故歴がないかが記録されていますので、それを参照して審査します。また、経営者が破産手続きや任意整理手続きをした過去がある場合には、一定期間はローンが組めません。信用情報に事故歴がないことを確認したうえで審査を続行させます。

不動産の調査

不動産担保ローンで最も重視されるのが、提供される不動産の担保価値です。不動産鑑定士に依頼して、路線価や立地条件、周辺の物件の価格などを調査した結果に基づいて不動産の価値を算定します。この不動産の評価額が利用限度額に大きく影響します。ローン会社は、不動産の価値のおおよそ70%を限度額として、貸し倒れのリスクを回避しています。法人ローンでは、事業計画書や自己資本比率も考慮して融資額を決定するので、不動産価値に比較して高めの融資額を受けられることもあります。

不動産担保ローンでチェックされる項目は?

返済能力をチェックされる

不動産担保ローンに限らず、あらゆるローンでは利用者の返済能力がチェックされます。不動産を担保に取っているので、返済が滞ればそれを売却して資金を回収するのが不動産担保ローンですが、だからといってむやみに貸出することはありません。金融機関としては、不動産を売却したいのではなく、担保によって借りやすくして利息を付けて返済してもらいたいという意識があります。不動産の価値は重要ですが、融資したお金の未回収のリスクを回避したいと考えているのです。

返済能力をどこで審査するのか

不動産担保ローンですので、最重要なのは不動産の担保価値です。担保として充分な価値があると判断できれば多少の返済力の足りない分は補えるとローン会社は考えます。不動産そのものの価値がここでは最重要項目です。次に重視されるのが借りた本人・法人の返済負担率です。その人・法人の収入と借入額の割合を重視します。収入に対して希望の借入額があまりにも大きいときには審査に通りません。年間の収入に対する年間の返済額の割合が35%を超えるかどうかがラインと言われています。個人の場合には給与などによる年収、法人であればフリーキャッシュフローを審査します。

どの程度の負債があるか?

もうひとつ審査で重視されるのが申込者の負債です。申し込みのあった不動産担保ローンの他にどの程度の借入があるのかを審査します。他社からの借入が多すぎたり、件数が多かったり、また返済の遅延を繰り返したりしていると審査に通過できない可能性があります。申込時に他社からの借入は申告しますが、これは個人信用情報機関や法人信用情報機関、帝国データバンクなどによって照会されます。ここで虚偽報告があれば審査は通りません。また、主に法人向けのローンの場合には税金の未納や滞納がないかもチェックされます。税金を支払っていない場合には、抵当権の順位が第1位でも不動産を売却したときには税金の回収が優先されるからです。

不動産担保ローンの審査にはどのくらいの時間がかかる?

審査には時間がかかる

不動産担保ローンは金利も低いですし、融資額も大きいので事業性資金の借入に適したローンです。一般のビジネスローンに比較しても利用する価値は充分にあるでしょう。ただ、融資までには時間がかかります。通常のビジネスローンでは申し込みして即日融資というローンもありますが、不動産担保ローンでは即日融資は困難でしょう。近年ではスピードはアップしていますが、それでも即日というのは珍しいと言っていいでしょう。銀行は特に審査には時間がかかります。条件にもよりますが、1ヶ月程度かかることもあります。会社の運転資金やつなぎ資金として利用する場合には、できるだけ早めに手を打ったほうがいいでしょう。ビジネスローンでつなぎ資金を借入して、その間に不動産担保ローンの審査結果を待つという手段もあります。そういった場合には、銀行やローン会社にその旨伝えておきましょう。

短縮しつつある傾向

銀行と法人がローン契約を締結するには時間がかかります。その一方で不動産担保ローンの需要が高まっていることもあり、近年では審査にかかる時間を短縮した商品も増えています。銀行の不動産担保ローンでも審査にかかる時間を短縮するために、スコアリングシステムによる審査を実施するなど工夫しています。こういった傾向は特に地方銀行で強く、5営業日ほどで融資ができる商品が開発されています。メガバンク系でも短縮傾向にあり、2営業日から3営業日ほどで審査結果の出る不動産担保ローンもあります。

ノンバンク系は早い

ノンバンク系の不動産担保ローンは、早くからスコアリングによる審査システムを導入しており、結果の通知は一般的な銀行のローンより早く来るでしょう。不動産の鑑定のプロセスを見直しして、自社で鑑定して審査まですべて手がけるというところもあります。最短で1営業日、つまり申し込み翌日には結果を出せるというところもあります。金利は銀行よりも高めの設定ですが、スピード重視であればノンバンク系のローンを検討しましょう。

不動産担保ローンでも保証人は必要?

保証人なしでも契約可能

不動産担保ローンはローン会社や銀行の審査に通過しないと契約はできませんが、基本的には保証人は不要です。すでに担保物件として不動産を提供していますので、返済が滞れば物件を売却すれば債権を回収できるからです。ノンバンク系は特にその傾向が強く、保証人不要で契約可能ですし、銀行系の不動産担保ローンでも保証人を立てずに大型の融資契約を結べることが多いです。住宅ローンや目的別ローンの契約では保証人を立てる必要があることが多いので勘違いされがちですが、不動産担保ローンでは保証人なしで契約できるケースのほうが多いと言っていいでしょう。

保証会社を利用するケース

とはいっても、一定の保証を求められることもあります。銀行系のローンに多いのが保証会社を利用する方法です。保証会社は、借入契約の際に借主が返済できなくなったときの保証人と同じ役割を果たします。ローンの返済が滞って、契約者が債務不履行になってしまった場合には、この保証会社が債務の返済をいったん銀行に行って債権を買い取ります。その後、債権を債権回収業者に引き渡して債務者、つまり借主からの債務の回収を引き継がせます。そのため、保証会社の保証付きローンでは、保証会社が審査を引き受けることが多くあります。銀行とすると、審査と債権回収をする必要がありません。

保険の加入

不動産担保ローンでは契約時に生命保険への加入が自動的に行われることがあります。これは住宅ローンの契約と同様で、契約者に万が一のことが起こったときに保険金で債務の弁済を行うためです。利用者は保険加入をすることで第三者の保証人を立てる義務を免除されます。また、審査に通過する条件として、担保となる物件の火災保険への加入が必須となることもあります。一軒家やアパートなどの物件が火災や自然災害で被害を受けたとき、契約者の債務の返済が困難になることがあるからです。火災保険に加入しておくと、いざというときの保険金を債務の返済に充てることができます。

不動産担保ローンの審査で限度額はどうやって決めるのか?

担保の評価額で決める

不動産担保ローンの審査で最重要なのは、担保となる不動産の評価額です。担保物件は借主が返済困難になった場合に、売却されて債務に充てられます。そのため、担保物件がいくらで売れるのかという評価は重要です。ローン会社や銀行としては、できれば借入した金額は利息をつけて支払ってもらいたいところですが、いざというときの担保を提供してもらえれば、借主の返済能力を多少超えていても契約に応じます。個人の経済状況や法人の財務状況によっても違いは出てきますが、融資額を決定的にするのは審査における担保の評価額です。

不動産評価額の範囲内

そのため、不動産担保ローンで融資できる額は担保となる不動産の評価額の範囲内になります。無担保・無保証のビジネスローンは、申し込みする法人の財務状況から判断しますし、個人であれば年収などから判断しますが、不動産担保ローンは担保物件の実勢価格を公示価格や路線価などを参考にして決定し、売却価格を考慮して限度額を設定します。そのため、不動産の評価額が思いのほか低く出てしまい、ビジネスローンを利用したほうが融資額が多くなる可能性もあります。不動産の売却価格は販売価格よりも低くなるのが通常ですので、融資額は鑑定から割り出された価格の60%から80%程度になります。担保物件の評価額が3000万円とすると、融資限度額は1800万円から2400万円程度です。

法人の財務状況も審査される

不動産担保ローンを法人が利用する際には、法人の財務状況も考慮されます。担保として提供される不動産の鑑定額が高いものであっても、法人の財務状況が悪ければ限度額も抑えめに設定されるでしょう。不動産担保ローンの審査では決算書の提出が求められます。決算書からは自己資本比率も分かるので、法人の財務体質もわかります。赤字決算が続いていれば、融資額を減らすことでリスクを軽減しようとします。不動産担保ローンの審査はローン会社によって大きく異なりますから、いくつかの会社や銀行を検討してみましょう。

不動産担保ローンの審査でのポイント

申し込みする人の信用情報

不動産担保ローンを利用するのが個人であれば本人、法人であれば申し込みする経営者の信用情報が、審査においては重視されます。たとえ不動産の評価額が高くても、申込者の信用情報にネガティブなものがあるときには、審査の通過の可能性はぐっと下がります。たとえば自己破産や任意整理などをした場合です。こういった情報は個人信用情報機関に一定の期間記載され、それは金融機関によって閲覧されます。事故情報の記載があるとき、審査にはかなり不利と言っていいでしょう。事故情報は5年または10年程度記載されます。開示請求も可能ですので、心配なときには請求してみましょう。

法人としての信用情報

法人として申し込みをする場合にも、法人の信用情報は審査の対象になります。すでに利用しているビジネスローンなどの支払状況は必ずチェックされると考えて良いでしょう。支払いの遅延や延滞があるとき、不動産担保ローンの審査では非常に不利です。また、税金の滞納も問題視されます。税金の支払いは、不動産担保ローンで設定される抵当権の行使よりも優先されます。税金の未納がある場合には、まずはそちらを清算してから申し込みしましょう。

会社の給与や報酬は?

不動産担保ローンでは、法人の財務状況はチェックされますし、審査の対象となりますが、経営者の報酬などはあまり重視されません。法人の場合には、法人そのものに返済能力があるかどうかを判断して審査します。経営者の報酬が多いか少ないかは関係なく、重視されるのは法人としての借入です。担保として提出する不動産の評価額が最重要です。担保にする物件が申込者の持ち家であるとき、総量規制の対象となることがあるので注意しましょう。総量規制はその人の年収の3分の1以上は貸出してはならないとする規制で、これに抵触して貸出されることはありません。契約の際には銀行やローン会社の担当者と良く相談しましょう。ノンバンク系はある程度の融通が利きます。

不動産担保ローンで審査落ちするケースとは?

破産や任意整理をしたとき

不動産担保ローンは、審査に通過できないこともよくあります。なぜ審査落ちしたのかについて、ローン会社や銀行が理由を教えることはまずありません。審査基準は極めて秘匿性の高い情報で、教えなければいけないという法律もありません。ただし、ある程度のことは推測されています。たとえば破産や任意整理の経験があるときには、審査落ちする可能性が高くなります。破産や任意整理、個人再生といった法的手続きによって債務責任を逃れた場合には、その情報は信用情報機関に長くて10年間記載されます。これはいわゆるブラックリスト入りしている状態で、その期間は、不動産担保ローンでも審査に通りません。

二重担保のとき

担保として提供する不動産を、すでに他のローンの担保として利用しているときには審査に通過できないことがあります。二重担保という状態です。すでに他のローンで物件を担保としているときに、債務が物件の評価額を大きく下回っていれば抵当権の設定によってローンの審査に通過することも可能です。ただ、こういうやり方は銀行は好みません。抵当権が設定できる状態でも、銀行の審査では通過できないことが多いと考えていいでしょう。ノンバンク系のローンは柔軟に考えて、条件次第で審査に通過させることがあります。担当者と良く話し合ってみましょう。

申し込みと実体が異なるとき

申し込みのときに記入や入力した情報が、実体と異なっているときにも審査には通過しません。たとえば曖昧な記憶で申込書に記入して、それが登記情報と異なっている場合には審査に通過できません。多いのは氏名や法人名の表記ミスです。登記されている情報と照合させながら正しい表記で記入しましょう。また、良く見せようとして虚偽の報告をした場合には、発覚した時点で審査には落ちます。こうした表記ミスや虚偽報告が、審査落ちの原因として最も多いと言われていますので、注意しましょう。